そうだ!フィリピンに住もう

ダバオ Davao Dabaw byえくえく

日本の方に絶対知ってほしいフィリピンの病院事情

皆さん、こんにちは。えくえくです(#^.^#) 最近日本人の方から「フィリピンは感染者数死亡者数共たいしたことないのに、なんでそんなに厳しいロックダウンをするんだ?」という質問をよく頂きます。前回ブログでは国民性について説明しましたが、今回はライフラインの一つである「病院事情」について説明したいと思います。

 

1. ダバオ市のコロナ指定病院

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上の画像は南フィリピンメディカルセンター(通称SPMC)で、ダバオ市の中心部にある「公立」の総合病院です。そしてコロナの指定病院になってますが、コロナ専門病院というわけではないのです。つまりコロナ以外の病気も診ているということです。

 

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そしてSPMCはダバオシティのみならず、ダバオ地方(Davao Region)全体で唯一のコロナ指定病院なのです。そして昨日は新規感染者数最多52人を記録し、ついに今まで頑張っていたナースもやめ始めました。理由はたいてい親の反対によるものだそうです。

 

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尚このSPMCは、ダバオ地方のみならず、ミンダナオ島全体から患者が来るのです。さすがに距離的にサンボアンガから来る人はまずいませんが、カガヤンデオロぐらいのとこからは、たくさん患者が来てます。で、そこまでして来る理由は「総合病院なのに公立だから安い」ということなのです。

 

日本の皆さんは、これがどういうことはわかりますか?私が住むダバオ市も含めて、ミンダナオ島には電車がなく、さらに高速道路もないのです。また地方部はインフラが整ってるわけではないので、ちゃんとした道さえないところもまだあるのです。なわけで悪路をトライシクルやバスに乗り継ぎ、何時間もかけて、やっとの思いで来るのがこのSPMCなのです。

 

しかし現在SPMCはコロナ対応で手一杯、そしてもうすぐキャパオーバー、医師はコロナで亡くなったし、さらにナースが最近やめ始めた関係で医療従事者の数も足らず・・・つまりコロナ以外の疾患の患者は診てもらえなくなる可能性があるのです。

 

まあ先進国の日本の方ならば「だから何?病院は1つだけじゃないでしょ。他の病院行けばいいじゃん」と思われるでしょうが、そういうわけにはいかない事情があるのです。

 

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2. 公立病院と私立病院の違い

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そもそもなぜダバオ市民はSPMCに行くのか?それは設備が整っているのに安いからです。上の画像はSPMCよりも規模の小さいトリルの私立病院「St. John病院」で、高血圧の義父と糖尿病の義姉のかかりつけです。で、この病院は設備が整っていないので、私立病院の中では安いのです。しかし・・・

 

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しかしこのSt. John病院の救急車は有料で、しかも前払いで高く、貧困層が呼べるのは、やはり無料で救急車を出してくれる前述のSPMCになるのです。さらに転院など移送になると、2500ペソ(5000円)の費用がかかるので、貧困層の人が乗れるわけがないのです。

 

この話、日本の方はおかしいと思うはずですよね。「病院で安いとか高いってなんだ?」と思われるはずですよね。日本は国民皆保険で、病院側のレセプトは保険診療ならば料金一律の点数制ですが、フィリピンでは各病院が勝手に料金設定をするから「高い安い」が出てくるのです。ちなみに同じ薬でも、病院の処方によって金額が変わってくるケースもあるぐらいです。

 

但し「勝手に」と言っても一応基準があり、設備の充実度などを基準に1から3のレベルに分類され、レベル3が最も高度な医療機関になり、医師のランクや患者の病状によって、それぞれの医療費を決定するのです。しかし「同じレベルの病院でも違う料金」というややこしさもあります。

 

要は設備が充実した大型の総合病院で、そこに良い医師がいれば、医療費は高くなるということなのです。つまり公立とはいえ、SPMCのような設備が整った病院で医療費が安いというのは、大変貴重ということなのです。

 

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上の画像はダバオドクターズ病院というダバオ市では最もレベルの高いとされてる病院です。なわけで当然「良い医師」がいるわけですが、ダバオ市の場合は「医師の持ち回り」なのです。

 

たとえばA医師がB病院に勤務してたとします。で、その医師は半年後にはC病院に転属になってたりするのです。つまりこのケースで言えば「ダバオドクターズにいた医師が半年後にはSPMCにいた」なんてこともあるのです。

 

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しかしそもそも昔は「フィリピンの公立病院で手術を受けたら死ぬ確率が高い」と言われてました。20年ほど前の話ですが、私の友人の奥さんの妹さんが盲腸でマニラの公立病院に緊急搬送されたことがあります。

 

で、どうなったと思います?亡くなりました。盲腸の手術で亡くなりました。その妹さんは腹部の痛みを数日我慢してたそうですが、痛みに耐えきれなくなったのか、最後自宅で泡を吹いてしまったそうです。

 

原因は執刀した医師が医学部の学生だったので、まだ腕が未熟だったということなのです。しかも本当に盲腸だったのかどうかさえ分からずじまいでした。カンタンに言えば医療ミスでしたが、それが日本なら訴訟問題になりますよね。

 

しかしその時は訴訟にはならず、その方が亡くなったのは、日本にいた私の友人のせいということになってしまったのです。奥さん曰く、「あなたがお金をケチったから妹は死んだのよ」ということでした。

 

私の友人はその時、事業に失敗して借金だらけ、要はお金がなかったのです。しかしなんで彼のせいなんだか、私にはさっぱりわかりませんでした。たとえば日本で急患の人がいたとして、国立相模原病院へ行くか?北里病院へ行くか?それほど考えませんよね。ちなみに彼は心優しい男だったんですよ。

 

当時フィリピンは「富裕層だけよければそれでよし」という国でした。公立病院についても「どうせ貧乏人しか来ないから、患者は医学部学生の練習台でいい」というのが公然の事実だったのです。だから彼の奥さんは「高いけど、お金を出して私立病院に行かせなければ、妹は死んでしまう」と救急車を呼ぶ時に彼に言ったと、後で聞きました。

 

しかし彼は借金だらけでお金がなかったのです。そして「金の切れ目が縁の切れ目」なのかどうかわかりませんが、彼はその後離婚し、行方不明になりました。今どこで何してるんだろ・・・

 

そして当時私は彼の奥さんが言ってることが本当なのか気になったので、他のフィリピン人にも数人聞いたのですが、みんな「そうだよ」と言ってました。なわけで「彼の奥さんの主張も一理あったんだな」と納得せざるを得ませんでした。

 

私はこの件も含めていろんなことがあり、当時若いフィリピーナだけは大好きでしたが、フィリピンという国は大嫌いでした。「財閥が政治家や官僚を巻き込み、麻薬ディーラーなども含めた一部の権力者が既得権益を悪用して財を成し、貧乏人は人とも思われない国」、それがフィリピンの印象だったからです。

 

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なわけで当時マニラ滞在で行ったのはほぼフィリピンパブだけで、観光なんてしたこともなかったのです。夜しか出歩かなかったから、マカティにあんなにビルがあるなんて、ほんの数年前にテレビで知ったぐらいです。あんなに何回も行ったのに(-_-;)

 

しかしあれから20年(きみまろかっ!)、時代は変わりました。レベルは私立より少し低いとはいえ、フィリピンは公立病院でも人を助けてくれるような国になりました。歴代政権が無視し続けてきた「貧乏人でも人として認められる国」になりつつある今、このコロナ騒ぎになって本当に残念で仕方がありません。

 

3. 健康保険事情

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尚、フィリピンでは「フィルヘルス(Phil Health)」という健康保険が代表的なのですが、日本のように「負担率70%」なんて大きな負担をしてくれるわけではないのです。しかしフィルヘルスの「加入率91%」って、どこから出てきた数字なんでしょうか?私はあり得ないと思ってます。メディケアなど他の健康保険もあるし、まあかなり高めに見ても60%だと思います。尚「加入率91%はあり得ない」については、かなりの自信があります。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/industry/life_science/healthcare_asean/ph.pdf

 

では知人がデング熱で、実際に入院した時の給付例を紹介します。

・専門医への支払い+施設使用料=10000ペソ

・入院費用 500ペソ/1日あたり

・医薬品費用 4000ペソ/入院期間

・レントゲンなど検査費用 3200ペソ/入院期間
で、5日間の入院だったので、給付額の合計は19700ペソ(4万円)になり、本人負担はなかったそうです。給付上限の範囲だったのでしょうね。

 

しかし私立病院の場合、通常入院費用は1日あたり1000ペソです。入院が長期化すれば、保険の上限額を超えた分は払えなくなるので、貧困層の場合は安い公立病院にしか行けないのです。

 

また病状によっても給付率や給付の上限額が異なってきます。けっこう細かいんですよね。そもそも私立病院の場合、救急車が有料という時点で、お金がなければ乗れないですからね。なんせ前払いだし、けっこう高いんですよね(-_-;)

 

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これが保険料です。低所得者や身寄りのない子供、身体障がい者は、地方自治体(Local Government Unit)が保険料を負担することになってるのですが、貧困層はこのシステムを知らない人けっこういるんですよね(-_-;) これが「加入率91%はあり得ない」一つの理由です。

 

ちなみによく「病院に行けない貧しい子供を病院に行かしてあげたい!!」みたいなボランティアの募金あるでしょ。だからあれウソなんですよ(-_-;) 申請すれば保険料負担なしで加入できるし、公立病院なら行けるんです!!

 

つまり本当に「行かせてあげたい」なら、保険の申請方法と公立病院の場所を教えればいいだけで、別に人様のお金を集めなくてもいいのです。まあ病院へ行くまでの交通費を募金で集めるなら、まだわかりますけどね(-_-;)

 

先日、向かいのスクワッターの連中に「日本人また募金ビジネスやるの?」と言われたのですが、おそらくこういう日本人にはバレないようなウソが、フィリピン人にはバレちゃってるんでしょうね、恥ずかしいなあ(-。-;

 

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で、最も加入してない層はインフォーマルセクター、つまりやトライシクルドライバーや街頭の物売りなどの個人事業主なのです。で、なんで加入しないか聞いたところ、一つは支払いの「全額負担」がネックのようでした。雇用されてる人は事業主の負担がありますからね。

 

で、もう一つは「どっちみち病院なんて高いから行かない」と言うのです。そして「家族はどうするんだ?」と聞くと「行けるわけないじゃん」との回答で、トライシクルドライバーの半数はこんな感じでした。但し奥さんがモールで働いているなど、事業主に雇用されてる場合は、「奥さんを代表者にして自分も加入する」というパターンもありました。

 

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私がいきつけの歯医者さんで、実際に健康保険の提示を見たことが一度もありません。で、歯医者さんに聞いたら、「月に1人か2人はいるわよ」とのことでした(-_-;) で、これについては給付負担の問題があるようで、たとえば重篤な疾患で入院する場合などは40%程度の給付があるフィルヘルスですが、「歯科治療の場合は5~10%程度の給付しかない」と、その女性の歯医者さんに聞きました。

 

だから加入してても大した金額ではないので、手続きがめんどくさいから保険を使わない人が多いそうです。ちなみにその先生、妻が子供の頃から診てもらってるので、なんでも教えてくれるのです(#^.^#)

 

4. 一般市民の医療現状

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上の画像はうちから見た向かいのスクワッターの角の家で、この並びに約40軒の家があります。で、ここの人たちは不法住居者の割には、それほど困窮してるわけもないので、約半数の人は健康保険には加入してません。で、1週間ほど前ですが、こんなことがありました・・・

 

上の画像の3軒隣の家の奥さんが病院ではなく、家で出産しました。どう見ても80歳以上の産婆さんを呼んだのです。私は赤の他人なので、もちろん立ち会わなかったのですが、どこでどうなったのか、出血多量だったらしく、その後救急車が来たのです。で、なんでこうなったのか?

 

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上の画像は2年前にうちの甥っ子が産まれた「SPMC」です。そもそもこの辺の人はたいていSPMCで出産するのです。うちからは1時間もかかるのにです。理由はもちろん安いからです。無料の人もたくさんいます。

 

しかしなぜその女性はSPMCに行かなかったかというと、現在SPMCには多くのコロナ患者が入院してるからです。要は感染が怖くて行けなかったのです。で、実はその直前に「生後25日の赤ちゃんがコロナ感染により死亡」というニュースがダバオ市であったので、よけいに行けなくなってしまったそうです。

 

日本の方からは「だったら他の病院に行けばいいだろ」という声が聞こえてきそうですが、設備が整った公立病院はSPMC一つしかないのです。救急車で搬送された母親はその後元気に帰ってきましたが、私立病院で出産するお金はなかったのです。

 

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しかしこの母親にとって一つラッキーだったのは、このスクワッターは親戚の集落だったことなのです。つまり私立病院への救急車代や治療費は40軒の親戚有志でシェアして払い、いずれ返すということになったそうです。これはあまりないケースです。

 

ぶっちゃけ「一事が万事」です。現状でさえ、一般市民はSPMCへ行くことを怖がってます。ちなみにうちの家族も怖がってます。さらにこのまま感染者数が増え、SPMCがキャパオーバーになったらどうなるか?貧困層は私立病院に行かざるをえなくなります。しかしお金がないから行けないのです。

 

そして急患もです。前述の出産のケースのように皆が皆、親戚がかたまって住んでるとは限りませんからね。SPMCの救急車は無料ですが、私立病院の救急車は有料で、しかも前払い。つまり貧困層の人は急患でも救急車に乗ることさえできなくなるのです。

 

感染者数が増えて、SPMCがキャパオーバーになると、たとえば貧困層の人が盲腸になったぐらいでも、救急車を呼べなくて死んでしまうかもしれないのです。昨年ミンダナオでは実際にそういうケースもありましたからね。

 

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つまり感染者数増加によるキャパオーバーで医療崩壊になれば、コロナだけの話ではなくなるのです。日本にいれば、想像できないようなことですよね。ちなみにSPMCは最後の砦なので、サラ市長は給料全額この病院に寄付しています。

 

5. 病院こそがライフライン

では皆さんは「苦痛と死」について、どう思われますか?私はのたうちまわるような苦痛でないならば、死よりも苦痛の方がましだと思うのですが、いかがでしょうか?私は「人間は生きてさえいれば、何かチャンスがある」と思ってます。

 

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首都圏マニラでは「食料が足らない」と騒いでる人たちが、少なからずいます。お腹が空けば苦痛でしょうが、この国で餓死した人は一人もいないのです。人間は水だけでも一週間は生きられますからね。しかし悲劇がありました・・・

 

先月マニラで風邪をひいていた妊婦が出産の際、数か所の病院で断られ、この人は保健省へ連絡しました。そして保健省は受け入れてくれる病院を探しましたが、時すでに遅く、お腹の赤ちゃんは亡くなってしまいました。

 

これには大統領もかなり怒っており、今後こういうケースは病院側にペナルティを科すことになりました。もちろん食料の確保も大切ではありますが、私が言いたいのは「病院の確保が最重要事項ではないのか」ということなのです。だから私は「病院=ライフライン」だと思っているのです。

 

もうここまでご覧になっておわかりだと思いますが、私の目線は常にフィリピン人の目線であり、貧困層など弱者の目線なのです。まわりにあまりにも貧困層が多すぎて、自分でも気付かぬうちにそうなってしまったのだと思います。

 

そういう意味では、富裕層の方がこのブログを見れば「言ってることが弱者寄りで偏向的だな」と思われるのは仕方がないことだと思ってます。

 

ちなみに最近、あるフィリピン在住の富裕層邦人の方から、「君の言ってることは、おれには全然関係ないじゃん」と言われたことがあるのです。たしかにそうなんでしょうがが、この国で貧困層は所得分布上、少数派ではないということも皆さんにはご理解頂きたいと思います。

 

私の住む村(バランガイ)はダバオ市内のDumoyというところで、村の人口は約2万人、そのうちスクワッター(不法居住区域)に住む人は約40%です。つまりこの比率がフィリピンそのものなのです。貧困率という観点ではフィリピンは20.8%のようですが、いわゆる貧困層は40%と言われています。つまり私の住む村のバランスがフィリピンそのものとも言えるのです。

貧困率は20.8%、20年間で半減と世界銀行が調査レポート(フィリピン) | ビジネス短信 - ジェトロ

 

6. フィリピン人の命の値段とは?

日本の皆さんは大変な勘違いをされてるのです。「フィリピン人は家族愛が強い」という点です。もちろん大勢の方に一定の家族愛はありますが、自己犠牲をできるという点では、日本人の方が圧倒的に家族愛は強いと思います。

 

日本の皆さんは在日フィリピン人を見てるからそう思われるだけなのです。ほとんどのフィリピン人は、家族に仕送りするために日本にいるわけですから、そう思われるのもよくわかりますが、それはこの国の一部のフィリピン人の話なのです。なんせこの国の人口1億人、在日フィリピン人は1%にも満たないわけですからね。

 

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十数年前ですが、ルソン北部のヌエヴァエシハという都市で大雨による大洪水があり、大勢の人が溺死しました。そして水が引けたあと道端には死体の山、正確な数字は忘れましたが、数千体あったと思います。で、問題は家族が死体を引き取りに来なかったことなのです。

 

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そして軍が来て拡声器で「死体を引き取りに来て下さーい」とさんざん呼びかけたのに反応はイマイチだったため、当時の大統領アロヨがテレビで「死体を引き取りに来てください」と呼びかけたのです。ちなみに私はそのテレビを見て唖然としました。しかしそれでもほとんど反応なく、結局軍のトラックで死体を回収したという出来事がありました。

ヌエヴァ・エシハ州 - Wikipedia

 

ではなぜ引き取りに来なかったかわかりますか?お金です。葬式代やお墓代を払いたくないから引き取りに来なかったのです。もちろん家の倒壊などで被災した人たちばかりだったので、「お金そのものがなかった」という点もあるのですが、それでも日本人なら心情的に引き取りには来ると思うのです。葬儀の形はともかく、普通は「無縁仏にするのは可哀想」と思うはずですよね。そして私が「フィリピン人の家族愛」について疑い始めたのはこの時からでした。

 

もちろんこういうフィリピン人ばかりではないのですが、日本人は「フィリピン人は皆が皆、家族愛が強い」と妄信している傾向があるのは間違いないと思います。で、私が言いたいのはフィリピン人の粗探しでなく、治療費のことなのです。

 

たとえば貧困層家庭の誰かが病気になって、一定額のお金が必要になったとします。日本人ならば、それが大金ならば家を売る、車を売る、お金を借りるなど、何らかの形でお金を作ろうとするはずですよね。

 

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ところが一般的な貧困層のフィリピン人はこういうケース、できる範囲のことはするけど、自己犠牲は払わないケースが多いのです。そして死んだら泣いて、教会に行ってお祈りすれば丸く収まるというのがこの国のスタンダードなのです。そしてこれからもそういう価値観は変えられないでしょう。

 

つまり安い公立病院に行ける環境がなくなれば、貧困層の人は大した病気でもないのにカンタンに死んでしまうのです。そしてニュースにもなりません。それはこの国では当たり前のことだからです。つまり貧乏人の命は軽く、安いのです。それが歴代政権が作り続けた価値観ですが、今この国にはそうは思ってない権力者が一人いるのです。それがドゥテルテ大統領です。そして私もそうは思ってません。

 

まとめ(所感)

結論です。日本を基準に考えて、フィリピンのことを語るのには無理があります。フィリピンは社会環境や国民性が、日本とは全く違うからです。たとえば「日本人は手を洗ったり、うがいをする習慣があるから感染率が低い」と言われても、この国では無理があるのです。

 

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それは全ての家庭に手を洗う石鹸があるわけではないからです。上の画像の石鹸、1個50ペソ(100円)もするんです。ダバオ市内の平均的な日給は350ペソ(700円)程度なので、日本で言えばこの石鹸は1500円ぐらいの価値ある物なのです。

 

で、もしバランガイから石鹸を配給したら、どうなると思いますか?売るだけです!!元々石鹸を使わない貧困層に石鹸を配給したら、その石鹸を誰かに売るだけになるのです。つまり日本の方の想定外のことがこの国にはあるのです。

 

先日5月28日夜、大統領声明があり、6月1日からは規制緩和される地域が多くなるので、さらに感染は拡大するでしょう。しかし「他国と比べて死亡率は悪くない」という言い訳は、大統領らしくないし、それが真意とは思えません。都市部の医療事情もよく分かってますからね。

 

私はこの声明をテレビで見ていましたが、大統領らしくない発言だったと思います。そしてドゥテルテ大統領の顔色の悪さはひどいもので、私は「もう万策尽きたんだな」と感じました。もう予算もなく、国民はルールを守らない、医療従事者は足らない、バランガイはしっかり配給しない・・・精も根も尽き果てたような印象でした。

フィリピン、首都マニラの封鎖6月から緩和 感染者は急増 - ロイターニュース - 国際:朝日新聞デジタル

 

フィリピン最大の都市はマニラ首都圏で、人口は1270万人です。そしてフィリピン最大の経済圏であり、ここ数年GDPの占める割合は約40%です。ロックダウンにより経済的にも大きな打撃を受けたことは間違いありません。

 

しかし経済を支えるのは、あくまでも人です。コロナの死亡率は低いかもしれませんが、医療崩壊を起こし、盲腸でもバタバタ人が死んでいくようなところに経済復興があるとは思えません。

 

そして今フィリピンは「コロナ以外の病気の人が診てもらえなくなるかどうか」の瀬戸際なのです。しかし日本の方にはその切羽詰まった状態が、理屈ではなく生理的にわからないようなので、今回あえてコロナ関連で2回連続ブログを作成しました。もちろん日本の方がこの国の事情を理解できないのは当たり前のことと思ってます。住んでなければわからないのは当然ですからね。

 

たとえば日本ならば、行きつけの病院がキャパオーバーならば、隣県の病院へ行けばいいだけですよね。日本には電車もあるし、高速道路もありますからね。そして公立でも私立でも病院の料金は一律ですよね。

 

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しかし私が住むダバオ市を含むミンダナオ島は日本とは違うのです。ちなみにミンダナオの人口は2500万人です。フィリピン全人口の1/4がこの島におり、けっして少ない人口ではありません。

 

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尚、首都圏マニラには電車も高速道路もありますが、今は「行きつけの病院がキャパオーバーだから隣県の病院へ」というわけにはいかなかったのです。それはロックダウンにより、仕事上のパスがないと州外へは出れなかったからです。

 

6月1日から規制緩和すれば、感染者が増えるのは当たり前の話ですが、生命の危機があるのは「貧困層でコロナ以外の疾患がある人たち」なのです。それはコロナ感染者は優先的に治療を受けられるからです。

 

つまり日本の方たちは勘違いしてるのです!

 

「コロナの死亡率」なんて、この国の現況とはあまり関係ない話であり、大統領声明は万策尽きた後の体裁にしか過ぎないと思っています。そして最も大事なのは・・・

 

感染者数増加による病院のキャパをどうやって確保するのか?

 

のはずです。感染者数に一喜一憂するのは、病院のキャパがなくなるからです。日本とは違うのです。コロナ感染者なんて、ダバオ地方全体でたかだか累計329人しかいません。

 

ではこのSPMCに行きたい一般患者は何人いるでしょうか?何千人、いや何万人かもしれません。コロナ感染者の何十倍、いや何百倍ですよ。その人たちの受診機会を奪うのが、感染者数なのです。最近、皆さんストレスのせいか、コロナしか見えなくなってるような気がします。しかし病院の利用者はコロナ感染者だけではなく、一般外来の方が圧倒的に多いことは間違いありません。

 

そして元々足らない医療従事者をどうやって確保するのか?たとえコロナ専門病院を作っても、医療従事者がいなければ、ただの建物になってしまいます。足らない医師は英語圏の医師を招聘するのか?かつてのように医学部の学生に患者を診させるのか?

 

そして足らないナースは海外にいるOFWのナースを呼び戻すのか?上積み賃金の予算はあるのか?毎日のように脱走者がいる隔離施設はどう管理するのか?現状は万策尽きたようですが、問題山積でやらなければならないことは山ほどあります。大統領にはなんとか頑張ってほしい・・・

 

そもそもフィリピン人の人生は短いのです。平均寿命は日本人84歳、フィリピン人68歳、つまりフィリピン人は日本人よりも16年も短い一生になるのです。そして今、その短い人生のフィリピン人の人生がさらに短くなろうとしてます。

 

私はこの地フィリピンで一生を終えます。日本へ帰る気もありません。それはダバオが好きだからです。そしてこれからも家族や貧困層の人たちと共に生きていきます。無宗教の私ですが、あとはもう神様にお願いするしかないのかなと今は思ってます。万策尽き、精も根も尽き果てたように見える大統領に神のご加護を!そしてすべてのフィリピン国民に神のご加護を!もうそれしかないな。ではでは!!

 

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